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1912年アメリカ海軍は戦艦フロリダ級に次ぐ弩級戦艦ワイオミング級2隻(戦艦ワイオミング、アーカンソー)を就役させます、当初このワイオミング級はフロリダ級の拡張型でありイギリス戦艦オライオンの様な35cmクラスの大型砲8門を搭載する予定でしたが搭載予定の35.6cm砲の開発が遅れた為にフロリダ級と同じ30.5cm砲で砲身の長い50口径30.5cm砲(フロリダ級は45口径30.5cm砲)12門を搭載する事となりました、それ故、アメリカ海軍の超弩級艦(口径35cm砲以上の主砲を多数装備した戦艦)計画は次級ニューヨーク級まで見送られたのです。 |
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戦艦ワイオミングの規模、機関、装甲 |
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ワイオミング級の大きさは基準排水量27243t、全長171.3m、最大幅28.4mで前級より一回り規模が大きくなっています、全体的には横幅が広く喫水線が低くベッタリとしたドッシリ感のある船体でした。 |
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機関は石炭、重油混焼ボイラー12基に高速、低速タービンを2基づつ2組として4基スクリューにより最大速力20.5ノット(試験時には21.2ノットを発揮)、最大出力28000hpまで引き出せます、当時の主力戦艦としては標準的な性能と言えるでしょう。 |
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装甲は広範囲に守りを固める全体防御で弦側水線部上部が最大279mm、下部で最大229mm、主に1番から6番砲塔側面の防御を重点としています。甲板部の厚さは38mm~76mm、主砲塔前面が305mmでした、また魚雷攻撃による守りはあまり重要視されていません。 |
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主砲50口径35、6cm連装砲塔 |
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(艦首1番、2番主砲塔の基) |
(艦尾3番~6番主砲塔4基) |
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当初の計画ではワイオミング級戦艦は35.6cm砲を主砲とする予定でしたがその開発が遅れ前級フロリダ級の45口径30,5cm砲より1ランク砲身の長い50口径30.5cm砲が採用されています、その性能は394.6kgの砲弾を仰角15度で21850mまでとどかせ、距離10920mで312mmの装甲が貫通可能でした。それら50口径30.5cm砲12門を連装砲塔に収め2基(4門)づつ背負い式として艦首に2基、中央に2基、艦尾に2基と甲板上に直線配置されています、その配置により艦首へ4門、艦尾へ4門、弦側へは全砲12もの主砲が向けられます。 |
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(左舷方向へ向けられた12門の主砲) |
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ワイオミングの副砲 |
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(左舷艦首側の12.7cm砲1門) |
(左舷艦尾側2門と船体最後部1門の12.7cm砲) |
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副砲は前級と同じ51口径12.7cm速射砲を左右弦側船体側面8門づつ(計16門)と船体最後尾に1門、甲板構造物上に4門の合計21門を就役時に装備、船体中央両側面の片側5門の計10門は砲郭に収め、艦首1門(両側面で計2門)、艦尾2門(両側面で計4門)、最後尾1門は収納可能な露天配備、甲板上4門は露天配備としています。 |
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(左舷船体中央側面の砲郭に収められた副砲5門) |
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甲板構造物上の4門の副砲は第一次大戦中の1916年に飛行船による爆撃に対抗する為、50口径76.2mm高角砲4門と交換されています。 |
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(12.7cmから交換された50口径76.2mm高角砲) |
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戦艦ワイオミングの艦歴 |
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1912年9月、戦艦ワイオミングと同型艦のアーカンソーが就役します、1917年4月アメリカが第一次大戦に参戦するとワイオミングはイギリス本国艦隊の指揮下におかれノルウェー沖の警備、船団護衛に従事、ドイツ戦艦との交戦の無いまま終戦を向かえます、大戦後の1930年のロンドン条約においてワイオミングはな3番~5番砲塔の撤去が決まり戦艦から練習艦へと落とされ、なんとも変わり果てた姿と成ってしまいます。太平洋戦争が勃発すると真珠湾攻撃により戦艦不足した事で旧式艦の復帰が望まれましたがワイオミングは練習艦として改装し過ぎていた為に練習艦のまま使用され大戦後1947年に解体処分となります、一方同型艦のアーカンソーは真珠湾攻撃後に戦艦へ復帰、ノルマンディー上陸作戦、硫黄島、沖縄戦などで艦砲射撃を展開し4つもの従軍星章を受けています、大戦後に老朽艦の為、1946年7月の原爆実験で標的艦となり沈没され生涯を終えました。 |
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戦艦ワイオミング |
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基準排水量 |
27243t |
兵装 |
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全長 |
171.3m |
50口径30.5cm連装砲塔 |
6基(12門) |
最大幅 |
28.4m |
51口径12.7cm速射砲 |
21門(就役時) |
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50口径76.2mm高角砲 |
4門(1916年改装時) |
機関 |
石炭、重油混焼缶12基、低速、高速直結タービン4基2組、4軸推進 |
53.3cm水中魚雷発射管 |
2基 |
最大速力 |
20.5ノット(公式) |
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最大出力 |
28000hp |
1910年2月起工 |
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1911年5月進水 |
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装甲厚 |
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1912年9月就役 |
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弦側水線部 |
水線上部最大279mm、水線下部最大229mm |
1947年8月退役 |
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甲板部 |
38mm~78mm |
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主砲塔前面 |
305mm |
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