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戦艦オライオン   
         
         
   
         
 イギリスの弩級戦艦ドレッドノートの登場によりドイツ海軍は秘密裏にイギリス海軍に追いつきをかけるべく弩級戦艦の建造に着手します、そのドイツ海軍の動きを察知したイギリスの商務大臣「ウインストン・チャーチル」は海軍支持派と共に海軍力増強を議会に訴え1909年度建造計画の拡張を承認させます、その内容は戦艦ネプチューンの改良型のコロッサス級戦艦2隻、従来の弩級戦艦の攻撃力を上回る超弩級戦艦オライオン級4隻の計6隻です、何れも2万トンを超える超大型戦艦です。  

 
         
戦艦オライオンの規模   
         
   
 1912年1月、イギリス海軍はポーツマス海軍造船所にて超弩級戦艦に位置付ける巨大砲艦オライオンを建造します、続いて同年4月には戦艦モナーク、5月には戦艦コンカラー、6月には戦艦サンダラーを完成させました、これら4隻は全て同型艦でイギリス海軍は同時に4隻もの主力戦艦を手に入れた事になります、その大きさは基準排水量22000t、全長177m、全幅27m、搭乗員750名以上と当時としては最大級の戦艦でした。  
   

 
         
強化された兵装   
         
   
 コロッサス級戦艦からオライオン戦艦への大きな変更点は主砲及びその砲塔配置にあります、主砲をコロッサス級まで採用されていた50口径30.5cm砲に代わりオライオン級では45口径34,3cm砲が採用されました、此れは50口径もの長身砲では初速が早すぎて砲のブレが大きくなり命中率が低下します、その難点を解決するためオライオン級では砲身を短くした大口径砲の45口径34.3cm砲が配置されたのです、この45口径34,3cm砲は初速こそは50口径30,5cm砲に劣るものその破壊力は上回っています、また主砲の仰角を15°から20°にする事により射程距離を21000mまでのばしました(コロッサス級の50口径30.5cm砲は19300m)。  
   
 (弦側に向けられた34,3cm砲10門)   
         
 それら34,5cm連装砲塔は艦首から艦尾にかけての中央線上に5基並べられています、此れにより側面に対しては10門もの主砲が向けられます、また真ん中の3番砲塔が艦中央に位置する為に斜め前方及び後方に同時に主砲10門の発砲が可能です。   
   
 艦首、艦尾の4基砲塔はネプチューン級戦艦以後、艦尾に採用された背負い式砲塔を艦首にも採用した事から前後4門づつ主砲が向けられる予定でした、しかし34.3cm砲の発砲時の爆風は予想以上で上段砲塔の発射時に下段砲塔に悪影響を及ぼす恐れがある為に実際の所前方、後方には下段のみ2門しか発砲できな状態です。   
 
(艦首方向)  (艦尾方向)   
         
 ちなみにオライオン級戦艦の最終艦サンダラーには世界初の射撃計算機が装備されたそうです、これが如何なるものか今で言うコンピューターの様なものかは分かりませんが自動計算の射撃指揮装置であった様で戦艦サンダラーはオライオンの6倍もの命中率を誇ったそうです。   
   
 副砲については駆逐艦などの対補助艦様の50口径10.2cm砲が16門と従来と変わりません、しかし16門の内の12門は砲郭化され砲室は密閉状態となりました。   

 
         
 オライオンの艦歴  
         
 戦艦オライオンは1909年11月ポーツマス海軍造船所で起工されわずか2年後の1912年1月には就役しています、更に同型艦モナーク、コンカラー、サンドラーも就役、それら4隻は共に本国艦隊第二戦艦部隊を編成しオライオンは副旗艦を勤めました、オライオン就役の2年半後の1914年7月28日第一次大戦勃発、当初モナークがドイツ潜水艦の魚雷攻撃を受けたい以外(魚雷は不発)4隻共特に大きな海上戦を行う事はありませんでした、そして1916年5月31日オライオン級の4隻はユトランド沖海戦に参戦、戦艦オライオンは序盤戦において敵ドイツ艦隊に睨みをきかせ待機、後半戦ではドイツ巡洋戦艦「リュッツオー」に4発の命中弾を与えました、モナークはケーニヒ級戦艦及びカイザー級戦艦と砲撃戦を行いますが双方大きな被害はありませんでした、コンカラーはケーニヒ級、駆逐艦隊に50発以上の砲弾をあびせますが何れも不発、またこの時点で最大速力は20ノットまでしか出せない状態でした、4番艦サンダラーにおいては視界も悪く戦闘機会に恵まれず海戦後半で要約2発主砲を発射したのみでした、何れにせよ第二戦艦部隊の4隻はユトランド沖海戦は元より一次大戦中に華々しい戦果は無かったのです。
 大戦終了後の1922年2月各国主力艦の建造、及び保有を制限するワシントン条約が締結、それによりサンダラーを除いたオライオン級3隻の除籍が決定されます、サンダラーは1922年~26年まで練習艦として使用された後に解体されました。
 
   

 
         
超弩級戦艦オライオンの仕様   
         
 基準排水量  22200t  兵装    
 最大全長  177m  45口径34,3cm連装砲塔  5基、主砲計10門  
 最大幅  27m  50口径10.2cm砲  10門  
     43口径47mm機関砲  4基  
 機関  バーソンズ式直結タービン(低速、高速各2組)  53cm水中魚雷発射管  3基  
 最大速力  21ノット      
 最大出力  27000hp  1909年11月起工  ポーツマス海軍造船所  
     1910年8月進水    
 装甲厚    1912年1月就役    
 弦側  最大305mm  1922年除籍    
 甲板  最大102mm      
 砲塔部  最大279mm      
 バーベット  254mm      

 
         
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