準ド級戦艦香取

　日露戦争に向けて日本海軍は戦艦「香取」と「鹿島」の2隻をイギリスに発注します、しかしこの2隻が竣工したのは日露戦争終結後でした、この香取型戦艦は後年「準ド級戦艦」と呼ばれた戦艦に分類され当時戦艦の通常配備であった口径３０ｃｍ主砲4門以外に口径２０ｃｍ～２５ｃｍの副砲（中間砲とも呼ぶ）を数門装備しています。
　さてこの香取型戦艦ですがイギリスの戦艦キング・エドワード7世をベースに建造され当時としては最新鋭で最強の攻撃力を持つ戦艦でしたが香取が就役した6ヶ月後に更に強力な攻撃力を持つ戦艦ドレッドノートがイギリスで竣工されました、ドレッドノートは口径３０ｃｍの主砲10門装備した戦艦で戦艦香取の様な準ド級戦艦は全て旧式艦と成ってしましました。　

戦艦香取の規模、機関、装甲

　戦艦香取の規模は全長が１４３．３ｍ、最大幅２３．８ｍ、基準排水量１５９５０ｔで前級「敷島型戦艦」より一回り大きい船体です。

　推進機関は従来通りレシプロ機関です、日本海軍でタービン機関が採用されるのは次級の薩摩型2番艦「戦艦安芸」からです。戦艦香取は20基のボイラーで3段膨張式4気筒往復機関（レシプロ機関）を駆動させ2基のスクリューを回し速力20ノット、最大出力１５６００ｈｐまで発揮できます。

　装甲の厚さは絃側水線部２２８ｍｍ、甲板部４５ｍｍ～９０ｍｍ、主砲塔全面２２８ｍｍで前級よりいささか薄いようです、速力を重要視したのでしょう。

主砲45口径３０．５ｃｍ連装砲塔

（艦首45口径３０．５ｃｍ連装砲塔）

（艦尾45口径３０．５ｃｍ連装砲塔）

　戦艦香取の主砲は45口径３０．５ｃｍ砲でそれを連装砲塔に収め艦首と艦尾の甲板上に1基づつの計2基4門を配備しています、この45口径３０．５ｃｍ砲はイギリス「アームストロング社」が新規に設計、開発したものです、前級「敷島型戦艦」に標準そうびされていた４０口径３０．５ｃｍが最大射程１３７００ｍに対して香取の45口径３０．５ｃｍ砲は３８６ｋｇの砲弾を２１１２０ｍまで飛ばす事ができました。発射間隔は毎分1発でした。

副砲（中間砲）45口径２５．４ｃｍ砲

（右舷艦首45口径２５，４ｃｍ砲）

（右舷艦尾45口径２５．４ｃｍ砲）

戦艦香取には主砲とは別に主砲を補佐する45口径２５．４ｃｍ砲が両舷の艦首と艦尾甲板上に1門づつ計4門砲塔に収められ配備されています、この強力は副砲である２５，４ｃｍ砲が前級と最も異なる点です、敷島型より一段高い攻撃力を備えていると言えるでしょう。最大射程は主砲を上回る２４６００ｍです。

（右舷側に向けられた３０，５ｃｍ砲4門と２５，４ｃｍ砲2門）

45口径１５、２ｃｍ砲

（右舷側の１５．2cm砲6門）

　従来の（敷島型戦艦）副砲に相当する45口径１５．２ｃｍも装備されています、この45口径１５，２ｃｍ砲を両舷側の船体側面に６門づつ計12門装備しています。

戦艦香取の艦歴

　1906年8月15日、戦艦香取が日本に到着します、就役後に艦名が香取神社に由来している事から御召艦としてよく使用されていました。第一次大戦ではマリアナ諸島のサイパン島（ドイツ領）の占領などに参加しています、しかし大戦後の1922年2月のワシントン海軍軍縮条約で廃艦が定められ翌1923年に香取は除籍されました。

戦艦香取

基準排水量	１５９５０ｔ	兵装
全長	１４３．３ｍ	45口径３０．５ｃｍ連装砲塔	2基4門
最大幅	２３，８ｍ	45口径２５、4cm砲	4門
		45口径15.2cm砲	12門
機関	石炭専用ボイラー20基、4気筒３段膨張式レシプロ機関2基2軸推進	40口径7.6cm砲	16門
最大出力	１６０００ｈｐ	４７ｍｍ機関砲	3門
最大速力	20.2ノット	４５ｃｍ水中魚雷発射管	5基

装甲厚		19０4年4月起工
絃側水線部	最大２２８ｍｍ	1905年7月進水
甲板部	最大９０ｍｍ	1906年5月竣工
主砲塔全面	２２８ｍｍ	1923年9月除籍