(手甲釣)
実際に使われていた忍者の武器を見てみましょう、忍者の武器と言っても通常の戦などでは一般の兵と同様に刀、槍を持って戦い策的、情報収集、敵陣の撹乱などの任務を遂行する時のみ特殊な武器を所持していました、それら特殊武器の由来は様々で中国の兵法書に書かれている物、生活用品を改良したも物、南蛮から伝来した物、または後年の歴史書、兵書に記載された実際には存在していない架空の武器も有ります、忍者の所持していた特殊武器は携帯型の武器で主に1対1の戦いを想定した物が多く見られ漫画や時代劇で見る様な一人で10人も20人も倒す事のできる大量殺人兵器ではありませんでした。
手裏剣
あまりにも有名な忍者の投剣です、その由来は中国から伝承した、または戦国期に接近戦に使う腰に忍ばせていた短刀が進化した物と二つの説がありますが両方の説とも正しいと言われています、その有効射程距離は大凡7間(12m~13m)で主に目、のど、頭部などを目掛けて投げつけるのが有効とされていました、手裏剣は木材、軟鉄などは貫通または突刺す事が可能ですが厚手の衣服など柔軟な物はむしろ貫通が困難で戦時においては地肌目掛けて投げるのが一般的でした。
(折りたたみ式の手裏剣)
手裏剣の形状は手裏剣術の流派などによって様々で十字の物、卍型の物、中には携帯性を考慮した折りたたみ式の手裏剣も有りました、基本適に手裏剣は光の反射を防ぐ為に表面に黒く焼が入れられています、また使い捨てなので証拠を残さない様に製作者の刻印は刻まれていません。
日本国の手裏剣術の流派は荒木流、池田流、柳生流、知新流、香取神道流、津川流、根岸流、白井流、実用流、諸賞流、弧伝流、甲賀伊賀流など30流派が確認されています。
火車剣
手裏剣に火薬を仕込んで導火線に火をつけて標的に向かって投げつけます、通常導火線は投射の際に火が消えてしまうので手裏剣の歯の根元に巻きつけられます、突進してくる適の馬や茅葺屋根などに投射すると大いに効果があったそうです。
撒きびし
忍者が追手から逃げる時、堀などの底に撒いておいて敵の突入を防ぐ時に使用されます、地面に撒いた際に鋭角に尖った先が必ず頂点を向く構造で沼や池になどに生息するヒシの実を乾燥させた物や鉄製の物が有ります。
仕込銃
(小刀にみたてた管討式銃)
戦国末期頃から江戸期にかけて炭壺、煙管などに見たてた仕込鉄砲が偽装武器として使われていました、銃身の短い短筒なので射程距離が短く主に護身用に所持されていました、仕込鉄砲には管討式(発火用の火薬を雷管に詰めてそれをハンマーで強くたたき発砲用の火薬に着火させる方式、ヨーロッパで言うパーカッション銃)、指火式(火口の穴に火縄、煙管の火、炭火を入れて発火させる方式)などが有ります。
手角
指にはめて使用する隠武器、適の顔、目、喉に突刺したり刀をかわしたりします。
大国火矢
火薬を詰めた筒をを弓矢に括り付けて飛ばす所謂ロケット花火付弓矢で弓矢を長距離に飛ばす事ができます、しかし距離の離れた標的対しては命中率も悪く一本の弓ではあまり効果は無かったでしょう、大凡数十人単位で一斉に矢を放ち押寄せる騎馬、敵軍を撹乱させたり同じく数十人単位で適の弓の射程外から奇襲をかけるのに使用されたと考えられます。
手甲釣
手甲釣は一般の武士や農兵などはあまり使用しません、忍者や特殊な武術家などが隠武器として使用します、手の甲に固定して鋭い爪の先で突刺したり甲の部分で刀をかわす盾として使う他両手にはめたり小刀兼用の攻撃など組み合わせにより幾つもの攻撃パターンを組む事ができます、しかし長槍の様な長物の武器で突かれた場合かわし様が無く鉄砲、弓などの飛道具の攻撃からは身を守る事はできませんでした。
捕火方
筒に花火、鉄砂を詰めて放射する現在の火炎放射器です、城、砦に押寄せる敵軍めがけて土塁上から放射したり数人の敵相手に火炎を放って不意打、撹乱させるのに効果がありました。
火炎は大凡6m位まで放射する事ができたと云われ近距離戦で適を撹乱させるのに有効的な火力兵器であったと考えられますが実際の殺傷能力はあまり無かったと思われます。
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